名作の実力「美女と野獣」
言わずと知れた名作です。
話を面白くする仕掛けがいっぱいあるんですね。古典って。
野獣は「人を見た目で判断する」という過ちから、「見た目がひどい」野獣となってしまいます。
そして「愛を得なければならない」のに、「ひどい見た目であるがゆえに愛を得ることができない」という状況に。
しかも真実の愛を得るまでに「残された時間」はわずか。
バラの花びらがすべて散るまでです。
野獣は自分で蒔いた種で苦悩し、自分の欠点を克服しない限りゴールにたどり着けない。
超達成困難な問題とタイムリミットというカセ。
これは、もう、すでに面白い。
ログラインは、「呪いで野獣になってしまった王子が、美女と出会って恋をし、真の愛を得えて呪いが解ける話」でしょうか。
要するに、主人公は美女ではなく、野獣ということですよね。
主演はエマ・ワトソンですが、物語の主人公は野獣です。
「美女と野獣」は愛の物語なので丁寧にひかれあう
骨格が面白いので、もうどうあっても面白い話にしかならないわけですが、実写版「美女と野獣」の素晴らしさはそれだけではありません。
歌がうまい、映像が美しい、ガストン(の見た目)がやばい、というのは”ガワ“の話で、ストーリーそのものとは関係ありません。
私が感心したのは、美女と野獣の二人が「はい、今、恋に落ちた!」というやっつけ仕事ではなく、徐々に心を通わせていく様を丁寧に描いていたことです。
物語としては、野獣は呪いを解くために美女を振り向かせようという理由があるので、後は美女が野獣を好きになる理由が提示されていればいいことになります。
美女が狼に襲われているところを野獣が助けるくだりから、聡明で本好きの美女に対して本の知識が豊富で機知にとんだ野獣が、知的な会話をするシーン。
食事を共にすることで、お互いの文化(?)、習慣をすり合わせていく感じ。
ダンスを受け入れるまでのいきさつ。
まさに畳みかけるような恋愛エピソードです。
とにかく、野獣がチャーミングに描かれていて、見た目と真逆の可愛さにあふれています。
ギャップ萌えですね。
美女に感情移入したとして、こんな野獣なら私も好きになっちゃう! と思えるようになっているわけです。
この流れなら、野獣は美女を好きになっちゃうし、美女も野獣のことを悪くは思わないだろうなー、と思いました。
逆にここがないがしろにされていると、美女と野獣の愛に全然説得力がなくなってしまいます。
一般の方の感想には、あまりに早く好きになりすぎるというご意見もあるようです。
それでも私は、映画の全体の尺を考えれば、”たっぷり時間を使った”と感じました。
もしかすると人を好きになるのに時間は関係ないのかもしれません。
ダメな人とは何年一緒でもダメですし、好きになる人とは一瞬で恋に落ちるものなのでしょう。
そんなわけで、あらゆる物語に必要な恋愛要素について、美女と野獣から学べることも多いと思います。
「美女と野獣」ミュージカル好きにはたまらない作品
脚本論から離れて評価すると、私は無類のミュージカル好きなので、とにかく歌とその演出の豪華さに感動しまくりました。
エマ・ワトソンが美しすぎます。
可愛すぎます。
素晴らしいです。
ガストンもやばいです。
数々の名曲を聴くことができて幸せです。
追加されたエピソードを見て、名作をリメイクすることの難しさに真正面から取り組んだうえで、その壁を乗り越えていると思いました。
ディズニーはすごいですね。