王道でハッピーなストーリー
この作品は、プーさんのことをよく知っている人の方が楽しいのはまちがいありませんが、まったく知らなくても楽しめないような映画ではありません。
家族で観て、とても楽しい、ハッピーな映画です。
それにプーさんがぬいぐるみのままの姿で動いたりしゃべったりするのがかわいくてしかたありません。
プーさんが哲学的な少し難しいことを言ったりしますが、我が家の子供たちも、なんとなくメッセージを受け取っていたみたいなので、多くの人の心に残る言葉なのだろうと思います。
ストーリー自体は王道で、きどったひねりのない、わかりやすい物語です。
簡単なあらすじ
一幕は、プーさんのことをあまり知らない人もわかりやすく状況設定がなされたあと、大人になったクリストファーロビンがどのような大人になったかが明かされ、その一方で何もかわらないプーとその仲間たちにも事件が起きて、クリストファーロビンとプーが出会います。
解決すべき問題は、クリストファーロビンとその娘のすれ違いです。愛し合っているのに、どうしてか二人の関係は良好ではありません。クリストファーロビンは仕事のことで頭が一杯だし、娘は学校のために家族と離れて寄宿舎に入れられることを嫌がっています。これを解決する旅がこれからはじまる、ということが明示されています。
二幕前半は、プーを100エーカーの森に返すために、クリストファーロビンが故郷に帰る旅です。
大人になったクリストファーロビンの考え方とプーの昔と変わらない考え方がいちいち相反して、過去の自分と今の自分との葛藤のなかで、果たして今の自分は人として正しいと言えるのかという疑問がわいてきます。
プーとクリストファーロビンは別れ、それぞれの居場所に戻ろうとしますが、クリストファーロビンの大事な書類を届けるために、こんどはプーがクリストファーロビンの娘と一緒にクリストファーロビンをおいかけます。(ミッドポイント)
二幕後半は、プーとそのなかまたちが娘と一緒にクリストファーロビンの会社を目指すという大冒険。そしてプーの活躍によって、父親の娘に対する考え方と娘の父親に対する考え方に変化が起こってきます。
三幕は、クリストファーロビンと娘が再開。クリストファーロビンの考え方や生き方を縛っていた仕事についての問題をクリストファーロビンが自分で解決します。娘を遠く離れた寄宿舎に入れることもとりやめ、娘と父は最高の和解を果たします。
ログラインは「仕事のせいで家族とすれちがっているクリストファーロビンが、100エーカーの森の住人たちと再会することで、仕事の問題を解決して家族と和解する物語」。
テーマは「見失っていた大事なものをもう一度見つけよう」かな。
それは風船より大切か
このストーリーは単純明快で、一本道の王道ハッピーエンドの物語ですが、子どもには子どもの受け止め方、子ども視点の面白い物語となっていて、大人には大人視点の、大事なものを思い出させてくれるようなストーリーになっています。
一つの物語ですが、子どもから見れば、プーのクリストファーロビンとの冒険、プーとクリストファーロビンの娘との冒険、クリストファーロビンが自分の問題を解決して、娘と幸せになるハッピーエンド。大人視点でみれば、仕事中心の生き方をしていたせいで子どもの気持ちを理解していたつもりがむしろ大人の要求を押し付けていただけだとわかり、悔い改めるというストーリーになっています。
なかなか奥が深い。
プーが風船に固執するエピソードがとても自然に効いていて、そこがうまいと思いました。
プーに「ねぇ、それって風船より大事なこと?」と聞かれた時、私は風船よりも大事なことをいくつ言えるでしょうか。
少し考え込んでしまうのです。