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リトル・マエストラ

2019年7月30日

リトルマエストラ

10代の有村架純を愛でる映画「リトル・マエストラ」

朝ドラ「あまちゃん」より前の2012年、10代だった有村架純を観ることができる映画です。

しかも脚本は、創作テレビドラマ大賞のコンクーラーにとっては伝説となっている、あの「おシャシャのシャン」の坂口理子さんです。坂口さんにとって映画の脚本はこれが初めてでしたが、その後、朝ドラ「マッサン」や「べっぴんさん」のスピンオフを担当するなどしていて、映画や舞台などでも活躍されています。

さらに、わきを固めている役者さんたちが豪華すぎるほど豪華で、朝ドラなのか昼ドラなのか、夜の2時間サスペンスなのかよくわからないほど賑わっています。

これほどの有名人の努力を結集して作られた映画が、面白くないはずがありません。よね。

「リトル・マエストラ」さん、クラシックは好きですか?

あまり多くを語りたくありませんが、この映画を最後まで観るのは、なかなか大変でした。

漫画が原作ということなので、もしかしたら原作が映画に不向きだったのかもしれませんが、ガワの豪華さにくらべて中身の貧弱なことに憤りすら感じました。

ログラインにしにくいけど書いてみると「学校のブラバン指揮者をおろされ田舎のオケに求められてやってきた女子高生指揮者が、音楽に携わる地元の人との心の交流をへて、自分たちの演奏が誰にとどけるための音楽かに気づき、応援団になる話」という感じでしょうか。学校から異世界である田舎町にきて、最後に自分の世界に帰るわけですから、その人が主人公です。と、ログライン的に女子高生が主人公なのは確実なのに、ファーストシーンでは主人公がわかりにくく、導入が説明くさくてすんなり物語に没入できませんでした。

あと、細かいところでリアリティがなくて、漫画原作だからかなと思わずにいられませんでした。無理のあるところは、どうせならギャグにして欲しかった。

例えば、バスケの試合の流れからいったら練習に一度も参加したこともないメンバーを最終局面で投入する意味がわかりませんでした。いや、それよりもコンクールの会場にトラックが来てしまったのはさすがに都合がよすぎて、デウスエクスマキナの一種だと思いました。試合中に演奏開始もちょっとありえない。試合に負けたのに、その後オケに依頼が殺到するのも意味通じない。

いいだすときりがありませんね。

役場の屋上では二人が通ったであろう足跡すらないほどの一面の雪だったのに、一瞬で雪が消えていたり。

あと、バイオリンは特にそうだと思いますが、オケが潮風にあたるところで演奏していいのでしょうか。金管楽器も潮風にあたると錆の原因となるので洗浄のお手入れが必要となります。推奨される行為ではない気がします。

「楽譜は作曲者からの手紙」の意味もよく咀嚼できていない気がしました。というより、クラシックについての思い入れというか、尊敬というか、そういうものを一切感じませんでした。クラシックを本当に理解できるのは一部の最初から生まれ持った天才しかいない、という価値観も納得できません。

特に釈由美子が演じる音大出身の女性は、天才じゃないからという理由で、まるでド素人のように扱われていますが、音大出身なのに高校のブラバン指揮者よりも知識や経験が少ないというのは考えにくいとは思いませんか。ほかにも釈由美子の言動はどうも作者都合に見えることが多々ありました。

テーマは「人に気持ちを伝えようとするなら、相手の気持ちに立って考えなければならない」ぐらいかなと思いますが、ログラインから想像できない内容だし、少し説教臭いし、いまいちしっくりきません。高校のブラバン部を追い出された主人公が、ブラバン部と和解してモトサヤに収まっていないから、尻切れトンボになっているのかもしれません。

正直、漫画原作の下敷きを読み解く以外に、クラシックにたいする造詣を深めることをしてこなかったのではないか、と思います。もっと言えば、指揮のフリも、演奏しているフリも、全然うまくいっていません。

クラシック、嫌いなんですかね?

「リトル・マエストラ」の何がどう悪かったのか

かなりひどいことを書いていますが、悪意はありません。ガワの豪華さに比べてなぜ中身がこうなってしまったのか、ぜひ知りたいと思うのです。そのために、なにがどう悪かったのか考えておきたいと思ったのです。

私はこの映画を、いつもの高校生部活モノの一種だと思って見始めました。しかも私が好きな音楽をモチーフとしている映画です。面白いにちがいないと思いました。

その期待値が高かっただけに、がっかりしてしまったのかもしれませんね。

まず、都合がよすぎる。そして、専門性が低すぎる。

これらはストーリー上の大敵であるようです。以後気を付けたいと思います。

 


 

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