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死亡フラグが立ちました! 七尾与史

2019年7月20日

死亡フラグが立ちました! 七尾与史

タイトルにくぎ付け

このミス大賞関連の文庫本を何冊か持っています。

「このミス」の魅力を知ってしまってからは、目にとまると「一応読んでおこう」と手に取るようになりました。

片っぱしから全部読む、というほどではありませんが、目についたものは結局買うまでず~っと気になっちゃうので、手元に自由のきく小銭があれば買うようにしている感じです。

そしてこの魅惑的な題名に出会ってしまいました。

「死亡フラグが立ちました」です。これを読まずにおれようか。

これが「このミス」らしさ

ミステリにおいて死亡フラグうんぬんは、いわゆる暗黙の了解です。

殺人現場の舞台設定の一部であったり、雰囲気作りの一助となるレトリックの一つともなりうる。

事件の被害者となる人物に、わざわざ殺され役の人間がいかにも口走りそうな事をあえて言わせるのも、「この人これから殺されますよ」という作者からのメッセージであり、読者も「ははあなるほど、この人が殺されるところが事件の発端なのね」と意思の疎通を図る、いわば「お約束」の典型です。

お約束は普通、アンタッチャブルじゃないでしょうか。それを冠にもってきちゃうのである。一体どんなミステリなんだ。

いかにも「このミス」らしい作品ですよね。「このミス」でなければ出会えない個性、センスだと思います。こういう作品を無名の新人が臆面もなく発表出来る、それが「このミス」最大の魅力だと思います。

「デスノート」に通じるような面白さ

名は体を表す。当然、本格ミステリを求めてはいけない。しかし、これは面白い。推理する、というより、想像が膨らんでいくという印象だが、確かに名探偵が登場するし、神出鬼没の殺人鬼も登場するというれっきとした「推理」小説です。

読者は、登場する名探偵よりも想像力をたくましくして、あれこれと真相をイメージできる面白さがあります。

一言で表現するならば、この面白さは、とても漫画的です。揶揄ではなく、あくまでいい意味で。

社会現象さえ巻き起こしたと言われるあの伝説的ヒット作「デスノート」にも通ずる面白さがあります。

それでいて、どんどん引き込まれるような表現力を持ち合わせてもいる。

中には冒頭わずか10ページを読んだだけで「文章的にちょっとアレだな」と読む気が失せてしまった方もいるかと思いますが、私はむしろ「読ませる」という商業的に絶対必要なものをしっかり持っている作品だと感じました。

ただし「この話は小説でなくてもよい」という意見には賛成です。小説としてももちろん成立してるわけですが、漫画の原作というか下敷きだといわれても信用しますね。

わざとやってますよね。

その一方で、ステレオタイプに記号化された登場人物のキャラクター性も、そのキャラゆえに出てくる洗練された軽妙な言い回しも、すべては前述の「お約束」に対するアンチテーゼともとれます。

登場人物が、自ら「死亡フラグ」について言及するのもメタ的。

あえて挑戦的に受け止めるとすれば「文章的にちょっとアレ」なのも含めて、つまり「わざとやってんじゃねぇか」ってことになるわけです。

「作者の神の力を用いればバナナの皮で人を殺すことも可能」という実験結果をミステリ界に叩きつけたのではないでしょうか。まあないでしょうね。

んなことは微塵も考えず、ライトノベルと思って気楽に鼻歌まじりに読めば、手に取ったほどの分厚さを感じさせることなくサクサク読めるに違いない。

漫画の単行本一冊約400円にあとちょっと足すだけで買えるわけで、一冊完結な分こっちのがお得な買い物かと。オススメです。

 

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