映画 インプット道場

書道ガールズ!! わたしたちの甲子園

2019年6月28日

書道ガールズ!!

大好物の高校生部活モノ

「書道ガールズ!!」は、いわゆるスポ根青春映画です。

舞台は愛媛県の四国中央市。折からの不況で活気を失っている町。映画では、ひたすらさびれていく商店街を何度も何度も取り上げ、ことさらに不況を強調していきます。

書道部員の自宅でもある文房具店が閉店を決めたり、部長宅の書道教室がひいきにしている和紙工場が倒産したり、またある部員は金銭的な事情で進学をあきらめて就職を志したりと、舞台となる町全体が責任の所在がわからない「不況」という闇にとりこまれていくのを目の当たりし、主人公達はやり場のない怒りをかかえています。

この町で生まれて、この町で育った。そしてこの町が好きだ。だから、町が死んでいくのをだまって見ていられない。一高校の書道部が立ちあがった時、町はにわかに活気を取り戻す。

非常に、胸が熱くなる物語なのです。

脚本は、2000年に『ほたるのゆき』で第13回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞した永田優子さんです。

にじみでる”実話”っぽさ

何の前情報も持たずに映画を見て、見終わった瞬間、これは実話をもとにしているのかもしれない、とすぐに思いました。

事実は小説より奇なりといいます。

誰かの想像だけで誕生した物語とは思えない、なんとなく突拍子のない展開を感じました。実話でもないと話に説得力がないというか、逆にいえば地に足がついた絵空事というか、そんな感じがしたのです。

例えば、過疎化が進む町で何か町おこしをやろうと寄り合いをしてあれこれと案を出している時に、じゃあ町の高校の書道部に何かやってもらおうか、なんていう提案はまず出てきません。

寄り合いに突然女子高生が割り込んできて、私たち書道部なんで書道で何かやらせて下さい、と言わなければ誰もそんなこと考えないのです。

さらに、じゃあ何をやるの、となったときに、書道パフォーマンスをやりたい、と言ったとして、そりゃあいいねぇそれでいこう、とはなりません。

「書道パフォーマンス=町おこし」と繋がるエビデンスはどこにもないからです。

つまり先に書道パフォーマンスとやらで、町が注目を浴びたことがある、という事実を先に持ってこない限り、「女子高生が書道で町おこし」という展開は突拍子のない話ということになるのです。

実話よりも面白い映画の魅力

調べてみると、やはり下敷きとなる実話があるらしいことが分かりました。

愛媛県立三島高等学校書道部の部員達が自分達の町を盛り上げようと、地元のイベントやショッピングセンターなどに繰り出し、出張書道パフォーマンスを披露していたそうです。その活動が地元テレビ局にキャッチされ、ドキュメント番組に取り上げられると、さらに全国放送の情報番組でも中継され、飛躍的に知名度を上げていきました。

そしてこの映画の題名ともなっている「書道パフォーマンス甲子園」を地元の祭りの中のイベントとして開催。その模様が全国ネットで放送され、大きな反響を呼んだそうです。

もちろん、映画のストーリーそのものとはちょっと違う展開だが、なかなか面白い話です。

この下敷きに、女子5人のアイドルと、それぞれに「能天気なムードメーカー」とか「思いこんだら一筋でおっちょこちょい」とか「すでに筆を折ってしまった天才」とか、よくあるキャラをはめて、それぞれの葛藤を肉付けをすれば映画の完成です。

そして、この5人の魅力が素晴らしい!

5人の美少女の魅力が入り乱れる

主人公は「武士道シックスティーン」でも主役だった成海璃子演じる里子。とにかく、その成海璃子が「武士道」の時とよくにた雰囲気で、それでいて別の役としてしっかりハマっていた。同じなのは、部活動に対して真剣すぎることと、家の生業と同じ種類の部活をやり、英才教育により凄腕であること、父親がやたらと怖いことです。

キャラクター的にはやっぱりツンデレが似合うんだな、彼女は。明るくて能天気なムードメーカーのポジションもやらせてみればやれるんじゃないかと思うけど。それはそれで見てみたいのです。

「武士道」では北乃きいちゃんがそのポジションで、本作ではなっちゃんのCMで見たことがある桜庭ななみちゃん。桜庭ななみちゃん演じる香奈はとても愛嬌があって魅力的な女子高生に見えた。彼女の笑顔は特別かわいい。

高畑充希が演じる清美の赤縁メガネもいい味を出している。かなり芋っぽい役どころだが、彼女のおっちょこちょいっぷりは実にほほえましい。小動物系ですね。

小島藤子が演じる小春の不思議ちゃんもやたらハマっていて、彼女の妙に危なっかしいとぼけっぷりを見ていると、自分のなかで男性ホルモンが増産されていくのを感じる。やたらかわいい。

山下リオが演じる孤高の天才、未央もクールな美しさを醸していて、こんな色っぽい女が同じ高校にいたら大変だなと思いました。

5人がそれぞれなところがいいですよね。

魅力も色気も5人いたらみんな全部違う。

そして映画の中では、5人が5人とも見せ場というか、おいしいシーンを担っていて、キャラがよく際立っていました。

日本中の同年代の美少女から選りすぐりのアイドルが5人もいるんだもの。映画の尺に見せ場つめこむのもなかなか大変だったでしょう。

顧問の池澤先生がピカイチ

さて、ここまで鼻息も荒く美少女について書いてきましたが、実のところこの映画を見るまでは、「武士道」にでてた子となっちゃんのCMの子以外は誰も知りませんでした。

たぶんテレビか雑誌かで見たことぐらいはあるんだろうけど、なんにも記憶にありませんでした。

本当は美少女なんてなんにも興味がないのです。だからここまでは長い前置き。いよいよここからが本題です。

私が素晴らしいと思った部分の一つは、金子ノブアキ演じる書道部の臨時顧問の池澤先生の人物造形です。

この男がちょっと不思議な男なのです。

血気盛んな前しか見えない青春時代を精一杯生きる女子高生達(しかも美少女揃い)がぐいぐいと押しかけてきても、ふらりふらりとかわし、ひょうひょうと自分のやりたいことをやりたいようにやる。

彼女たちが泣こうがわめこうが我関せず。いいたいことを言って姿をくらませるのが得意技の一つとくる。

しかしそのスタイルは、あくまで自分の信念を貫かんとするかっこよさに満ちている。

言葉とは裏腹の得体のしれない自信が、ただものらしからぬ雰囲気を発散しているのです。

セリフまわしも、とかく印象的。

それも金子ノブアキ固有のスタイリッシュさのなせる業なのでしょう。

縛られることをやめた、というか、自分で自分を縛るのをやめた、と言う感じの、大人っぽくない大人の男の人。

いつでも本心を隠し、やる気の片りんも他人に見せまいとするそんな男が、密かに書道部を見つめるなかで、彼女たちの熱意に打たれ、口にこそ出さずとも彼女たちの成長を心底願っている。

書道部員も徐々に彼の書道部に対する熱い思いを感じ取り、池澤先生を慕っていくのです。

美少女達よりも彼の破れかぶれの生徒指導のほうがよっぽど見応えありますね。

圧巻の書道パフォーマンスに感動

もう1つの一押しは、もちろん書道パフォーマンスそのものです。

5人はどこかで訓練をうけたのか、もともと書道ができる子を集めたのかわかりませんが、とにかく字がうまい。

字ってアートなんだな、と改めて感じます。

ラストの書道パフォーマンス甲子園では、恐らく本物の書道パフォーマーが演技を披露していて、これらがなんとも素晴らしい。

書道は出来上がった書を鑑賞する芸術だが、書道パフォーマンスは筆による絵と文字のアートが出来上がっていく様を鑑賞します。完成品を見ただけでは味わえない不思議な感動があるのです。

見る者をアッと言わす細工があり、演出があるのです。

それでいて一切やりなおしがきかない「字」という一発勝負の美に込められた勝負感。実に奥が深い。

この感動は、あの「スウィングガールズ」のラストを見たときのアレによく似ている気がしました。

「スウィングガールズ」は本当に素晴らしい映画でした。

音楽と書道パフォーマンスが違うのは、音楽は演奏の後に「跡」は残らないが、書道パフォーマンスは演技の後に「跡」として作品が残るという点です。

作品を見れば、どうやってこの一発限りの作品が誕生したか、その情景が思い起こされるのです。なかなか面白いアートではありませんか。

書道パフォーマンスと金子ノブアキの演技、そしてとびきりの美少女5人組は見応えばっちり。あまたあるこの手の映画の中でも、最高峰クラスの充実感がありました。

 

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