漫画 インプット道場

哲也 さいふうめい

2019年7月3日

哲也さいふうめい

麻雀を知らなくても面白い

脚本を書こうとするとき、題材に取り上げた分野の取材が不可欠であることは間違いありません。

どこをきっても、「この分野のことなら調べつくした」という自信がにじみ出るほど勉強したほうがよいと言われます。

そして、勉強しつくしたことをいったん捨てるという工程も必要です。

要するに調べつくしたことをそのまま原稿に書いても”説明”にしかならず、面白くならないからです。

取材したことをいったん捨てて、真っ白から書き始めると、その分野のことを理解していながら、一歩うしろにひいた客観的な目線を保つことができると言われます。

私が連載中の「哲也」に熱狂していたころには、そんなことは微塵も感じませんでしたが、もしかすると原案のさいふうめいさんは、あまり麻雀を知らないところから深く勉強をして、さらにその取材した内容を捨ててから書き始めたのではないかと思いました。

なぜなら、麻雀という小難しいルールのあるゲームを題材にとっておきならが、その複雑さを感じさせずに、ゲームのことをしらない人でも楽しめるストーリーになっているからです。

私は麻雀について詳しいので、まったくわからない人の感覚で読んだわけではありませんが、敵との対決の中で、どこに”焦点”があるか、なにが”秘密”で、なにを突破すれば勝てるかが、わかりやすく提示されているので、どうやってその問題を哲也たちが突破するのかに関心が集中します。ですから、麻雀のことを知っているかどうかに関わらずおもしろいのです。

つまり「哲也」のストーリーの構造は、一話完結形式のミステリによくにていて、麻雀はあくまでガワにすぎず、その本質は、他の少年漫画と同じ構造ではないかと思うのです。

少年漫画の王道をいくストーリー

全体のストーリーとしては、「師匠との出会いと別れ、ライバルとの対決と旅の果てに知るその後、最強の敵との四天王バトル、敗北と旅の果てで得た敗北からの復帰、最強の敵とのリベンジマッチ」という大きなうねりになっていて、一つ一つの勝負と全体の流れは一体です。

そして一つ一つの勝負は、いわゆる”能力者バトル”です。

能力を駆使した相手の強さをいかに突き崩すか。

相手の弱点をついたり、能力の根源を断ったり、はたまた心理戦で能力を上回ったり、哲也たちが死力を尽くして勝利を勝ち取る展開は、とても気持ちがいい。

そういう意味では、賭け麻雀という題材でありながら少年漫画の”王道”と言える作品なのです。

一読の価値がある名作です

麻雀はガワにすぎないという言い方をしましたが、麻雀を好きな人間からしたら、この”能力者バトル”ものを麻雀でやってくれるのはとてもうれしいのです。

似たパターンでは「兎 野性の闘牌」(伊藤誠)という能力者バトル全開の漫画もありますが、こちらはもっと大人向きなので、少年漫画としては「哲也」はやはり画期的な漫画だったといえるでしょうね。

麻雀漫画の能力者バトルといえば、「咲-saki-」(小林立)シリーズも忘れてはなりません。イカサマですらない超能力で相手を圧倒する世界観は、もはや麻雀が舞台というだけで、中身はジョジョの奇妙な冒険みたいなものなのでしょう。これはこれで面白いです。

もちろん、超リアルなプロ雀士の世界にちょっとしたファンタジー(嘘)を練りこんだ「ノーマーク爆牌党」の存在も忘れてはなりません。爆牌、色の支配、爆役満、などは超能力の一種ですし。

これらの名作に並んでも恥じない、緊張と興奮と面白さが詰まっているのが「哲也」です。

たとえ麻雀をまったく知らなくても読むべき作品だと思います。

 

\みんなに紹介してね/
この記事のタイトルとURLをコピーする
created by Takoyan

-漫画, インプット道場
-

© 2020 ゴリアスの副業道場