ボイスドラマ

悪魔の背中には黒い羽がある(男2女2:10分)

タイトル:悪魔の背中には黒い羽がある

男声2、女声2、10分程度

ファンタジー、ヒューマンドラマ

小林絵子(21)声が出ない大学生、彼氏のせいで水商売に身をやつしている
悪魔♂(21)エコの分身
遠藤明美(44)絵子を担当している女医
深山賢斗(28)絵子の恋人にあたる人物無料で音声を確認できます

 

(M)=モノローグ、このストーリーの場合は心の声です

シーン1

病院の音楽

絵子(M)「だめだ、やっぱり声が出ないよ」
明美 「咳払いはできますか?ハミングも出ない感じですか?」
絵子(M)「あー、無理だ。消えてなくなりたい」
明美 「絵子ちゃんの場合は、ゆっくり、だね」
深山 「そんな。それじゃ困ります。絵子には大事な仕事があるんです」
明美 「今は無理が一番ダメなんです。わかる絵子ちゃん」
絵子(M)「ごめんね賢斗さん。ごめんね」
深山 「とにかく、今すぐ連れて帰らせてください。声が出るより前に」
明美 「絶対に、許可できません」
深山 「チッ。くそっ」

乱暴に扉を開けて出ていく音

明美 「彼氏さん、ずいぶんあなたを連れてかえることにこだわってるみたいね」
絵子(M)「私は、私は、賢斗さんなしには生きられないから」
明美 「彼、あなたが運ばれてきた時にピッタリ付き添ってくれてたけど、それがなぜだか、あなたには、わかる?」
絵子(M)「そうだったんだ、賢斗さん。優しいな」
明美 「どういう関係かまではわからないけど、絵子ちゃん、自分のことを大切にしてね」

シーン2

布団に入る音
夜の音がする

絵子(M)「あー、声が出ないとお仕事ができないのに、なんで私ってダメなんだろう」

悪魔登場の音楽

悪魔 「絵子、ちょうどよかったじゃないか?声が出せなくて」
絵子(M)「え!だれ!なんなの?」
悪魔 「俺か?俺はお前だよ」
絵子(M)「てゆーか、なんで私の声が聞こえてんのよ?」
悪魔 「そりゃ俺は、お前を守るために現れた、お前の心の中の天使だからさ」
絵子(M)「天使?馬鹿じゃない。見た目完全に悪魔なんですけど。人を呼ぶわよ」
悪魔 「呼べるもんなら、その美声で人を呼んでみろよ」
絵子(M)「じゃその背中の黒い羽は?悪魔の証拠じゃない?」
悪魔 「この羽は願いを叶えるための羽さ」
絵子(M)「願い?」
悪魔 「そう。たとえば、高いところから落ちても大丈夫なように」
絵子(M)「高いところ、から、、、」
悪魔 「それよりちょっと、出かけないかい?」
絵子(M)「何言ってんのよ、私は入院してるのよ。声が出せるようにならなきゃ」
悪魔 「そんなこと言ってるから声が出ないんだよ」
絵子(M)「むー。くやしい」
悪魔 「お前、自分を変えたくないのか?」
絵子(M)「ん。確かに。変えたい。でも」
悪魔 「なら行こうぜ。お前の行きたいところに」
絵子(M)「わ、私の行きたいところ?でもどうやって?」
悪魔 「俺の羽を掴むと、願いが叶うんだ」
絵子(M)「は?悪魔なのに?超絶ウソくさいんですけど」
悪魔 「だから俺は天使だって。さあ、おいで」

窓ガラスを開ける音。

シーン3

翼の羽ばたき。
空飛ぶ音楽。

絵子(M)「わあ、空だ。気持ちいい」
悪魔 「お前の行きたいところ。あそこだろ」
絵子(M)「あ、賢斗さんのマンション、、、」
悪魔 「屋上に、行こうぜ」
絵子(M)「あ、、、う、、、」

着地する音
耳鳴り、錯乱する音
過去のシーンである

絵子 「賢斗さん、どうして、、、」
深山 「お前の代わりなんていくらでもいるんだよ。わかってんだろ」
絵子 「きゃっ。痛い」

柵に体を押し付けられる音

深山 「俺のいうことを聞いて働け。それが嫌なら、ここから落ちろ」
絵子 「いや、いやだ。助けて。賢斗さん」
深山 「どうせ、お前は俺から逃げられないんだよ。オラァ」

柵を強打する音

絵子 「助けて、助けて」
深山 「おい、おい。どうすんだ?そこから落ちる気か?やれるもならやってみろよ!」
絵子 「じゃ、じゃあ、私と一緒に落ちよ?それでいいから。ね、一緒に落ちて!」
深山 「ばーか!俺には羽が生えてんだよ!テメェだけ地獄に落ちろ!」
絵子 「きゃー」

シーン4

布団から起き上がる音
病院の音

絵子(M)「あれ?夢?なんだか、怖い夢」

扉がゆっくり開く音

絵子(M)「あ!賢斗さん!」
深山 「なあ絵子。お前、思い出してないか?あの日のこと?」
絵子(M)「え?何?怖いよ賢斗さん」
深山 「お前、俺のこと、ちくったんだよな。先生に」
絵子(M)「そんなこと、してない。私、そんなことしてない」
深山 「声が出せないのは本当に都合がいい。今日こそ、飛ぼうか。そこから」
絵子(M)「い、嫌だ」
深山 「なんだ、ちょうど、窓ガラスが空いてるじゃないか?なあ絵子」
絵子(M)「え?嘘!そんな、お落とされる」

シーン5

羽ばたきの音

悪魔 「今だぜ!大声を出そう」
絵子(M)「あ、悪魔?」
悪魔 「お前は本当は声が出せるんだよ」
絵子(M)「私には、声が、出せないから」
深山 「オラァ」
悪魔 「さあ!俺の羽を思いっきり掴め!」
絵子(M)「で、でも」
悪魔 「そうだ!自分で掴むんだ!」
絵子(M)「う、うん!」

握りしめる音

悪魔 「ありったけの声で助けを呼ぼう!お前の力で!」
深山 「さあ、お別れだぁ!」
絵子 「きゃー!助けてー!」
深山 「な、お、お前、声が!くそー」

スイッチの音で電気が灯る
ドタドタと足音

シーン6

明美 「絵子ちゃん!大丈夫!」
絵子 「先生!助けて!」
深山 「く、くそっ」
絵子 「この人が全部悪いんです。私の声が出なくなったのもこの人のせいなんです」
明美 「大丈夫、もう大丈夫よ絵子ちゃん」
絵子 「あ、ありがとう」
明美 「この男のことは最初から気にしてたのよ。あなたが運ばれてきた時から」
深山 「う、うう」
明美 「絵子ちゃんが運ばれてきた時、あなたの声や記憶のことは気にしていたけど、あなたが怪我をしていたことには興味を示さなかった。それは怪我をさせた張本人だからなのよ」
絵子 「そう、だったんですね」
明美 「彼、よっぽどあなたの声と記憶が戻ることが怖かったみたいね」
絵子 「あ、そういえば、悪魔、、、」
明美 「悪魔?」
絵子 「そうなんです。私のことを助けてくれた、、、」
明美 「悪い夢を見ていたのね。無理もないわ。あら?そういえばさっきから何を握りしめているのかしら?」
絵子 「え?あ、黒い、羽」

エンディング曲

絵子 「本当に、私を守ってくれたのね。ありがとう。私の心の中の天使」

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