タイトル:青森のリンゴはキスの味
男1 女1 5分
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🟢男「リンゴ食べる?」
🟠女「何よ。急に」
🟢男「ほら、リンゴ好きじゃん」
🟠女「そう、だけど」
🟢男「とっておいたんだ。食べて欲しくて」
🟠女「そんなの、ずるいじゃん」
🟢男「何が?」
🟠女「私を怒らせておいて、バツが悪くなったからリンゴなんでしょ」
🟢男「バレた?」
🟠女「そりゃバレるわよ」
🟢男「でもさ、好きだろ。リンゴ」
🟠女「うん。好き」
🟢男「俺がむいてあげようか?」
🟠女「ばか。包丁なんか使えないくせに」
🟢男「でもさ、食べて欲しいのはホントなんだよ」
🟠女「わかった、わかった。もういいよ」
🟢男「もういいの?」
🟠女「うん」
🟢男「怒ってない?」
🟠女「うん」
🟢男「よかった」
🟠女「さ、食べよ。リンゴ」
🟢男「それさ、友達が送ってくれたリンゴでさ」
🟠女「え?そうなの?」
🟢男「わざわざ本場の青森から送ってくれたんだよ」
🟠女「へー、スゴイじゃん。スーパーのじゃないんだ」
🟢男「そうだよ。味は保証するって言ってたもん」
🟠女「そなんだ。それを私のためにとっておいてくれたのね」
🟢男「そうだよ。怒られた時のためにね」
🟠女「もう。ばか」
🟢男「俺もさ、リンゴ嫌いじゃないからさ。一緒に食べたくて」
🟠女「うん」
🟢男「だから、じょうずにむいてね」
🟠女「わかったわよ。はい。きれいにむけました」
🟢男「ありがとう」
🟠女「でもさ、気をつけてね」
🟢男「何が?」
🟠女「さっきこと。お酒の飲み過ぎは絶対、絶対ダメなんだからね」
🟢男「わかってるよ。つい、先輩に誘われて飲みすぎただけだよ」
🟠女「でも、女の子がいるところに行ったんでしょ」
🟢男「あ。やっぱりまだ怒ってる」
🟠女「気になるわよ。それなりに」
🟢男「うん。ごめん。気を付ける」
🟠女「じゃ、食べて。青森のリンゴ」
🟢男「食べさせてよ」
🟠女「え?」
🟢男「ほら、あーん」
🟠女「もう、ばかじゃない。勝手に食べなよ」
🟢男「ほら。ね。あーん」
🟠女「わかったわよ。はい。どうぞ」
🟢男「うん。美味しい。やっぱ青森産は格別だね」
🟠女「私に食べさせてもらったからでしょ」
🟢男「えへへ」
🟠女「ほら、言いなさいよ。私に食べさせてもらったから美味しかったですって」
🟢男「うーん。そうだね」
🟠女「はい、言って」
🟢男「いわなーい」
🟠女「じゃ、あとは私が全部食べるからね」
🟢男「あ、ごめんごめん。言います。言います」
🟠女「はい、じゃ、もう一つどうぞ」
🟢男「あーん。美味しい」
🟠女「でしょ」
🟢男「食べさせてもらったリンゴ。めっちゃ美味しいです」
🟠女「だったら、もう、お酒飲みすぎないでね」
🟢男「あ、やっぱり、まだ気にしてた」
🟠女「うっ!」
🟢男「え?なに?どうしたの」
🟠女「白雪姫ごっこ」
🟢男「は?」
🟠女「はい。王子様のアツい抱擁でしか起き上がれないのよ」
🟢男「なに?どうすればいいの?」
🟠女「わかるでしょ。ほら?」
🟢男「え?わかんない」
🟠女「キスよ。仲直りのキス」
🟢男「うーん。めんどくせーなー」
🟠女「あなたが悪いんでしょ」
🟢男「はいはい。わかりましたよ」
🟠女「何よ。乱暴ね。お姫様なのよ」
🟢男「わかった、わかった。優しくすればいいのか?」
🟠女「そうよ。優しくして」
🟢男「じゃ、するよ。チューを」
🟠女「はい。どうぞ」
🟢男「はいはい。さ、リンゴ。リンゴ」
🟠女「あ、自分で食べてるじゃないリンゴ」
🟢男「お口直しだよ」
🟠女「何よ!失礼ね」
🟢男「うっ!」
🟠女「え?なに?どうしたの」
🟢男「リンゴの毒が。はい。どうぞ」
🟠女「は?」
🟢男「その、チューで治るやつ」
🟠女「いい加減にしなさい」
🟢男「でも、仲直りしたいから」
🟠女「ほんとにばか!」
🟢男「ふふ。乱暴なキスだね」
🟠女「もう怒ってないから。これで仲直り」
🟢男「ごめんね。好きだよ」
🟠女「うん。私も」