タイトル:大変だよ!
男声1 女声1 5分
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🟠女「大変、大変!」
🟢男「何?朝っぱらから、どうしたの?」
🟠女「トシさん、大変だよ」
🟢男「まだ眠いんだよ。何?こんな時間に」
🟠女「そんなこと言ってる場合じゃないって」
🟢男「だから、何があったんだよ」
🟠女「ほら、これ見て。これ」
🟢男「え?これって、まさか」
🟠女「そうなの」
🟢男「確かに大変だ」
🟠女「妊娠だよ、妊娠」
🟢男「これが、妊娠検査薬なのか」
🟠女「見たことないでしょ」
🟢男「うん。初めて見た」
🟠女「そう、ここに線が入ると妊娠なの。わかる?」
🟢男「うん、そうか。なるほど。大変だね」
🟠女「ね、でしょ。わかってる?パパさんになるんだよ」
🟢男「パパさん。そうか。子供ができたんだもんな」
🟠女「ね、パパになる覚悟、あるの?どうなの?」
🟢男「うーん、なんかまだ実感は湧かないけど。そうなんだな」
🟠女「大丈夫?トシさんがパパさんだよ。大丈夫?」
🟢男「わかってるよ。大丈夫。俺はパパになるよ」
🟠女「だって、さ。トシさんってアレじゃない」
🟢男「アレって?」
🟠女「トシさんのお父さんはさ、アレだったじゃない?」
🟢男「うん、そうだね」
🟠女「そんなトシさんが、パパになるんだよ」
🟢男「うーん。そう言われると、ちょっと怖いかも」
🟠女「トシさんのお父さん、怖かったよ」
🟢男「そう、だね」
🟠女「トシさんは大丈夫かなぁ?」
🟢男「大丈夫。俺は俺だから」
🟠女「そう?やっぱ、血が繋がってるからさ、大変かなって。だってパパになるんだよ」
🟢男「パパか。そんなことより、大丈夫なの、その、ママの方は」
🟠女「わたしは大丈夫。ちょっとびっくりしただけ」
🟢男「そっか。びっくりしたよね」
🟠女「でも大丈夫。だって初めてじゃないし」
🟢男「そっか、そうだよね」
🟠女「そうなの」
🟢男「でも、大変は大変でしょ?」
🟠女「そりゃ大変よ。子供産むって。簡単じゃないよ」
🟢男「そうだよね。ママだもんね」
🟠女「でもね、わたしのことより、トシさんが心配なのよ、わたしは」
🟢男「ありがとう。ごめんね。でも頑張る」
🟠女「本当に頑張れる?本当の本当に頑張れる?」
🟢男「ああ。俺は、こうやって生きていくって決めてたんだ。ずっと前から」
🟠女「ずっと前から?」
🟢男「そうだよ」
🟠女「わたしと一緒に?」
🟢男「そう。俺たちはパパとママ」
🟠女「でも、お父さんが、さ」
🟢男「父さんがあんなだったんだから、逆に僕がしっかりしなきゃって」
🟠女「そうなんだ?」
🟢男「そう。ずっとそう思ってたよ」
🟠女「うん。わかった。じゃあ、わたし産むね」
🟢男「そりゃそうだよ。産んでくれよ」
🟠女「そう?トシさん次第では、産まないことも考えたよ」
🟢男「何言ってるんだよ。こうなることはわかってたじゃない」
🟠女「うん。そうだね」
🟢男「俺は、もともとそういうつもりだから」
🟠女「わたしたち、こっそり、ずっとそういうことしてきたもんね」
🟢男「俺はとっくに覚悟を決めてたし、ママに嫌な思いをさせる気もないよ」
🟠女「そうなの?わたし、もう、怖い思いしないかな?」
🟢男「大丈夫。俺がママを守るから」
🟠女「本当に?わたし、もう痛いのも、怖いのもヤ」
🟢男「安心して」
🟠女「お父さんみたいにならない?」
🟢男「ならない。絶対に」
🟠女「トシさん、わたしのことぶったりしない?」
🟢男「するわけないじゃないか」
🟠女「本当に?本当に?わたしのこと捨てたりしない?」
🟢男「捨てない。大丈夫。俺がママを捨てたりするわけないだろ」
🟠女「わたしのこと、ぶたないし、捨てない?」
🟢男「ぶたないし、捨てない」
🟠女「よかった。じゃ、トシさんの事信じる」
🟢男「大丈夫。ママの子だよ。俺を信じて」
🟠女「ありがとう。トシさん。大好き」
🟢男「ママ。俺も好きだよ」